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アミメキリン

分類:鯨偶蹄目キリン科 シートン大友の百獣画録 第31話「キリンのボーイズ・ラブ」    第10話でキリンを取り上げたとき、遺伝子研究によって一種類だと思われていたキリンが実は四種類だったという話をしました。あれから21話を経て、キリンに再び登場して貰います。今回のテーマは分類ではなく、恋愛事情です。雄のキリンが雌にモテるための条件は、ただひとつ。喧嘩に強いことです。第14話のライオンはタテガミの黒さという「見た目」で雌の心を掴みましたが、キリンの世界にそんな悠長な審査はありません。殴り合って、勝った方がモテる。実に明快です。    その殴り合いの方法が、なかなか豪快です。「ネッキング」と呼ばれるこの戦法は、あの長い首をムチのようにしならせ、頭頂部の角を相手にぶつけるというもの。人間の世界で「ネッキング」と言えば首筋へのキスを意味しますが、キリンの場合は首で殴り合うことを意味します。同じ言葉でこうも意味が違うのは、なかなか趣深いものがあります。そして戦いに勝ち抜いた最も強い雄が、雌達を独占するハーレムを形成するのです。第30話のワオキツネザルはニオイの強さで序列を決めていましたが、キリンはもっと直接的です。首の一撃で決着をつけるのですから。    ところが、最近の研究でこの戦いの最中に思いもよらないことが起きていると判明しました。雄のキリンは、激しい戦いの興奮によるドキドキを、恋のドキドキと勘違いしてしまう傾向があるらしいのです。その結果、激しく殴り合っていた雄同士がそのまま交尾に発展してしまう。これはいわば、動物の世界にも「吊り橋効果」があることを示す一例かもしれません。しかも驚くべきことに、キリンの交尾全体のうち約90パーセントが雄同士によるものだというのです。・・・雌にモテるために戦っていたはずが、戦っているうちに相手の雄に惹かれてしまう。本末転倒と言うべきか、心理学的に正しいと言うべきか。    第14話のライオンはタテガミの色で、第30話のワオキツネザルはニオイの強さで、そして今回のキリンは喧嘩の強さで、それぞれモテの条件が決まっていました。動物の世界の恋愛事情も、調べれば調べるほど多様です。ただ、戦いの末に相手に惹かれてしまうというのは、キリンだけの特許でしょう。あの優雅な姿からは想像もつかない、なんとも人間味のある恋愛模様です。・・・もっとも、当のキリン達は「人間味」などと言われても、あの悠然とした顔で首を傾げるだけでしょうが。
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分類:鯨偶蹄目キリン科 シートン大友の百獣画録 第31話「キリンのボーイズ・ラブ」    第10話でキリンを取り上げたとき、遺伝子研究によって一種類だと思われていたキリンが実は四種類だったという話をしました。あれから21話を経て、キリンに再び登場して貰います。今回のテーマは分類ではなく、恋愛事情です。雄のキリンが雌にモテるための条件は、ただひとつ。喧嘩に強いことです。第14話のライオンはタテガミの黒さという「見た目」で雌の心を掴みましたが、キリンの世界にそんな悠長な審査はありません。殴り合って、勝った方がモテる。実に明快です。    その殴り合いの方法が、なかなか豪快です。「ネッキング」と呼ばれるこの戦法は、あの長い首をムチのようにしならせ、頭頂部の角を相手にぶつけるというもの。人間の世界で「ネッキング」と言えば首筋へのキスを意味しますが、キリンの場合は首で殴り合うことを意味します。同じ言葉でこうも意味が違うのは、なかなか趣深いものがあります。そして戦いに勝ち抜いた最も強い雄が、雌達を独占するハーレムを形成するのです。第30話のワオキツネザルはニオイの強さで序列を決めていましたが、キリンはもっと直接的です。首の一撃で決着をつけるのですから。    ところが、最近の研究でこの戦いの最中に思いもよらないことが起きていると判明しました。雄のキリンは、激しい戦いの興奮によるドキドキを、恋のドキドキと勘違いしてしまう傾向があるらしいのです。その結果、激しく殴り合っていた雄同士がそのまま交尾に発展してしまう。これはいわば、動物の世界にも「吊り橋効果」があることを示す一例かもしれません。しかも驚くべきことに、キリンの交尾全体のうち約90パーセントが雄同士によるものだというのです。・・・雌にモテるために戦っていたはずが、戦っているうちに相手の雄に惹かれてしまう。本末転倒と言うべきか、心理学的に正しいと言うべきか。    第14話のライオンはタテガミの色で、第30話のワオキツネザルはニオイの強さで、そして今回のキリンは喧嘩の強さで、それぞれモテの条件が決まっていました。動物の世界の恋愛事情も、調べれば調べるほど多様です。ただ、戦いの末に相手に惹かれてしまうというのは、キリンだけの特許でしょう。あの優雅な姿からは想像もつかない、なんとも人間味のある恋愛模様です。・・・もっとも、当のキリン達は「人間味」などと言われても、あの悠然とした顔で首を傾げるだけでしょうが。
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