分類:どちらも食肉目ネコ科
シートン大友の百獣画録 第31話「ライオンとトラ、どっちが強い?」
このシリーズを第1話から読んで下さっている方の中には、ずっと気になっていた疑問があるかもしれません。第1話でトラを、第14話でライオンを取り上げました。ネコ科の二大巨頭です。では、もしこの両種が戦ったら、どちらが勝つのか。自然界の永遠のテーマとも言えるこの問いに、32話目にしてようやく向き合ってみたいと思います。
まず前提として、ライオンとトラが自然の中で戦ったという記録はありません。かつてアジアではライオンとトラが同じ地域に生息していた時代もありましたが、ライオンは草原、トラは森林と、棲む環境が違っていたため、両者が鉢合わせすること自体がなかったのです。第1話で触れたように、トラは森の中で待ち伏せからの全力タックルを得意とする狩人。一方、第14話のライオンは開けた草原でタテガミを靡かせる王者。舞台が違えば、そもそも出番が重なりません。
しかしながら、サーカスや動物園のような人工の環境で、事故的に両種が戦ったという記録は何件か残されています。その結果はどうだったのか。ライオンが勝ったこともあれば、トラが勝ったこともある。つまり、五分五分です。第14話でライオンのタテガミの黒さが実力の証だと持ち上げ、第1話でトラの水浴びを紳士的だと褒めた身としては、どちらかに軍配を上げたいところですが、記録が許してくれません。・・・もっとも、第12話のカバに言わせれば「どちらが勝とうが、私の方が強い」と涼しい顔をされそうですが。
第1話のトラから始まったこのシリーズも、気がつけば32話になりました。トラの毛並みの美しさ、ライオンのタテガミの威厳、カバの圧倒的な戦闘力、チーターの儚い疾走、ゴリラの繊細な心。どの動物にも、その動物だけの強さと弱さがあります。「どっちが強い?」は永遠に決着がつかないからこそ永遠のテーマなのであって、決着がついてしまったらそれはもう、ただの結果です。・・・と、綺麗にまとめたところで、第15話のハイエナが「結局どっちの獲物を横取りするかは私が決める」と笑っている気がしてなりません。